第十七回 素直と単純
- 高坂剣友会
- 2020年8月27日
- 読了時間: 2分
「では最後、大きい面三本から切り返し」
先生からの最後のメニュー。
さてさて子どもたちを見てみると、大きい面三本から切り返しをやっている。
これで稽古が終わるという安堵とともに。
先生から言われたからこのメニューをやる。
なんとも当たり前の光景なのだが、ここで成長する子としない子がはっきりと分かれる。
先生からの指示をきくのは当たり前なのだが、しかし大切なのはこの与えられたメニューを、どうやるかを自分で決めることではないだろうか。
先生にこれをやりなさいと言われ、何をやるかだけを理解し、ただメニューをこなす子。
何をやるかを理解し、それをどうやるか自分で課題設定をして取り組む子。
前者はやらされる稽古。
後者は取り組む稽古。
圧倒的に後者のほうが成長する。
これは剣道だけではなく勉強でも仕事でもそうである。
学校では問題の解き方を教える。
足し算、引き算、割り算、掛け算、公式などなど・・・。
剣道でもそうだ。
こういうときにはこういう技があるなど・・・
しかし、日常生活や剣道の試合では、問題の解き方よりも、問題点をいかに正しく発見できるか、作ることができることが重要だ。
いくら解き方をいっぱい知っていても、そこにどんな問題があるのか、課題を自分で発見できる子が成長する。
公式や答えをいくら知っていても、そこに問題を発見できなければ使う機会なんて一切ない。
とくに大人になって社会に出るようになれば尚更だ。
だから、子どもたちには常に稽古でいう。
大切なのは何をやるかで終わるのではなく、何をどうやるか。そのどうやるかを自分で決めなさいと。
何をやるかはだいたい先生が決める。
しかし、その先生のメニューをどう取り組むかは自分が決めなくてはならない。
もちろん先生は基本的な取り組み方、考え方は教える。
しかし、そのやり方を何も考えずただやっても絶対に身につかない。
もちろん最初っからやらない、聞かないは論外。
あの人が言っているからやろう、あの人が言っているからやらない、聞かないという人を選ぶ子は人間的に絶対に成長しない。
そこは素直にやってみる。聞いてみる。
その上で自分に合いそうであれば取り入れればいいし、そうでなければ違うやり方を模索する。
それこそが研究や工夫だと思う。
言われたことを何も考えずにやるような単純な子にはならないでほしい。
素直であることと単純なことは違うのだ。
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