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第十九回 やる気にさせてはいけない

  • 高坂剣友会
  • 2020年10月24日
  • 読了時間: 3分



よく出る言葉「やる気」「モチベーション」。



子供のころはやる気。


大人になると横文字を使いたがるのでモチベーション。



要するに誰しもが小さいころから持ち続ける悩みである。


「やる気がでない」


「モチベーションがあがらない」


誰しもが一度は使う言葉。



保護者の方からもよく相談される。


「子供の剣道へのやる気が見えないんです」


「子供のモチベーションがあがらなくて剣道へ行きたがらないのでです」




そもそもやる気やモチベーションとは何だろう?


たぶんイメージとして、子供に剣道へやる気がある、モチベーションが高いと




「今日も元気に、前向きに稽古に行こう!」


とか


「はやく剣道に行きたい!!」


という姿を連想しているのだと思う。




やる気がある、モチベーションが高い子供は剣道に行き渋ることなく、親を困らせることがないと。




私も剣道経験者ですのではっきり言いますと、こんな状態は年に数回しかない。



基本的に稽古は嫌でなものである。


今でも。


いけば怒られる。


練習はきつい。


ましてや剣道は自分のダメなところを教えてくれる武道。


基本的にいいものではない。




そんなものに毎回やる気があって、モチベーション高くいける子はそうはいない。


大人だってそうなのですから。




しかし、不思議なもので稽古に来ると自然とやる気が出てくる。


それは、子供たちの顔を見たり、仲間と話すると


「しゃあない、せっかく来たんだからいっちょやるか!」となる。


そしてやっているうちに「こうやってみるか」とか「もうちょい追い込んでみるか」となって、結局たのしくやってしまう。




つまり、「やる気」とは、やっている最中に出るものなのだ。




上に書いた保護者の悩みは「やる気」や「モチベーション」を上げても、実は解決しない。


では、どうすれば行き渋る子供の背中をおしてやれるか?




それは「やる気」にさせてはいけない。


いかに「その気」にさせるかである。




大人でも乗せられれば気分は悪くない。


むしろやりたくないのにやる気にさせられそうになると強烈な拒否反応を示すことが多い。




これは新人教育にも言える。


やる気にさせようとする指導者。


それを拒む新人たち。


そしてやる気にならない新人を責める指導者。


永遠のいたちごっこである。


むきになってやる気にさせていいことなんて経験上一個もなかった。




「でもその気にさせるために褒めればいいんですか?」という質問を受けたことがある。


褒めるとおだてるは違う。




ではどうすればいいか。




褒めるというよりは、認めてあげることが大切だと思う。




稽古が嫌な気持ちは悪いことではないのだ。


その気持ちは受け止めてあげる。


その上で大人としてどんなことを思っているかを伝えてあげればいいのだと思う。




ここは良い部分、ここはだめな部分。


きちんと区分けして、分解して伝えてあげると、だれもがより自分の良いところ、悪いところがわかり、成長すると思う。


それを一緒くたにしてだからダメなんだ!といえば潰れるし、いいねといえば図に乗る。


だから大人がきちんと相手を認め、そしてその気にさせる。




そうすればいずれやる気やモチベーションなどに左右されることなく取り組む人に成長してくれると思っている。




ただし、指導側はかなりストレスフルになるので、自分のモチベーションを大切に。


自分をその気にさせる何かをまずは準備したほうが良いと思う。




 
 
 

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